ファンと不安

 小学5年生のとき、僕は学級新聞を作る「新聞係」で、その新聞に4コマ漫画を連載していた。

 同じクラスのRくんはこの漫画がえらく気に入っていて、新しい新聞が配られるたび、僕に「お前は天才だ。絶対に漫画家になれる」と言ってくれた。

 でも、実はこの4コマ漫画はすべて月刊少年ジャンプからのパクリだった。

 当時、週刊少年ジャンプはほぼすべての小学生が読んでいたと言ってもいいぐらいだったが、月刊少年ジャンプを読んでいる人は皆無だった。うちではたまたま父親が好きだったので、毎月買っていたのである。

 4コマ漫画のネタに困った僕は、それをいいことに、こっそりネタを盗んで描いた。そんなことを知らないRくんは、新しい新聞が出るとまた「お前は天才だ、お前が大人になったら何になるのか楽しみだ」と言った。彼は僕が漫画を描くたびに、僕のファンになっていった。それを見て僕は不安になっていった。

 ある日、僕は彼に、漫画は全部パクリだと伝えた。

 彼は、思ったほど驚かなかったし、思ったほど落胆しなかった。

コメントください